もう、あのゾワゾワした感じは無かった。
まとわりついていた気持ち悪さは無かった。

ほっとした。そしたら力が抜けて、その場に座り込んでしまった。
佳伊が隣に座る。

「大丈夫?もう終わったんだよ」

いつもの優しい瞳で言った。
その優しさのせいか涙が出てきた。

「お…終わったんですよね…もうあんな出来事ないですよね…誰も死なない…」

佳伊は柳の肩を抱いて、そうだよ。と言った。

羅我とまことがその側に座り、柳が泣き止むのをじっと待っててくれた。

母さんはいなくなってしまったが、この人達がいる。
能力を隠してきた。両親でさえ見放したこの能力…でも、この能力があったからこの人達に出会えた。
役に立てるのだ。

泣き止んだ柳を見て佳伊が言った。


「さ、帰ろう。俺たちの家に」

家っていうかビルじゃんと内心思ったが差し出された佳伊の手をにぎって柳は微笑んだ。