出入りの激しい教会に佳伊達はいた。

信者達は一心に祈っていた。

佳伊は柳の方を見る。柳はうん、とうなずく。

佳伊は目を閉じた。
そして集中し始める。

柳は佳伊のその尋常じゃないオーラをみて驚愕する。
この人本当に凄いんだ…

佳伊の声がテレパスとなって教会内に響く。

「神の子などいない。それはルシファーに違いない」

頭の中に降ってくる言葉に信者は驚き、きょろきょろとお互いを見回す。
しかし佳伊の事には気付かない。

「天使をこの地に来させてはいない。ルシファーに騙されるな」


ざっと50人はいる信者全員に向ってテレパス送るなんて…なんて凄い人なんだ。
柳の中で佳伊を尊敬する気持ちがむくむくと出て来ていた。

教会内はざわざわとする。

「佳伊様、今日はこれで」

「ん」

特に疲れも見せず、佳伊はいつもの微笑みで立ち上がり歩き始めた。

ざわついている中、そっと外に出た。

佳伊のBMWに乗ってビルに帰る。
「あの…」
助手席で柳は恐る恐る聞く。

「疲れて、ないんですか?」
佳伊はきょとんとして「全然」と微笑んだ。

やっぱりこの人凄い。
自分が火を使ったあとって結構疲労するんだけど全然平気なんだ。