え…… 「華帆が可愛くていじめたくなっただけだよ」 ふっと笑うと 音を立てずにボタンを閉め始めた 「あ、ゆむ……」 「だから泣くなって」 そう言いながら 目を合わせようとしない歩に また心が痛んだ気がした “冗談だって…” その言葉だけが頭に響いていて 気づいたら、私は 歩の手を振り払っていた 「触らないで…」 「か、ほ……?」 「冗談なら触らないでっ!」 そう言って資料室を飛び出していた