愛を知った十四の夏

それは夢みていたほど

甘く優しいものではなくて

苦くて苦しくて

何度も何度も

打ちのめされてうずくまった


戻れなくなる恐怖

足元が崩れ落ちる恐怖

あなたを失う恐怖

ただただ怯えていた


ずっと隣にいたはずのあなたが

とても遠くて

その距離を埋めるには

まだ幼くて


傷つけあい傷を舐めあい

きっと本当はあなたも怯えていた

すがるものを探して抱き合ったふたり


いとしいのだかかなしいのだか

自分さえ見失い

ぼろぼろになって泣き叫んだ夕暮

あなたが差し延べた手を

掴んだ瞬間に破裂した感情

それをひとは愛と呼ぶ


苦しくて辛くて怖くて

それでも逃げるわけにはいかないと

悟るしかなかった十四の夏

唇を噛んであなたの手をきつく握った