心の中で雷樹に感謝しながら、あたしは数学の準備をし始めた。
「ちなみに俺は、山内匠。数学は、よろしくな☆」
またニカッと笑って山内先生は、隅にあったホワイトボードを取り出した。
「はい数学始めるぞ」
山内先生がそう言ってから数秒後、ドアが開いた。
「やべー…めっちゃ腹痛い…ってあれ?誰あんた?」
1人の、男の子が入ってきた。
「あー…」
雷樹はちょっと面倒くさそうに、あたしに目をむけた。
…説明が面倒なのかなー?
『あたし…ここの先生です!!事情があって…。あ!お腹痛いんだっけ?なら、ベッドで休んだほうが……』
あたしが緊張している事を読み取った男の子は、ぷはっと吹き出した。
「面白い奴♪俺、久保山正吾。よろしくな♪正吾って呼んで」
ここの人達はどうしてみんな、名前で呼んでもらいたがるんだろう。…とか疑問に思ったけど、とりあえず自己紹介。
『あ、あたし、橋野唯です。よ…よろしく…』