稜の退院が間近に迫って来た。
俺は、両親に、今住んでいるこの都会から、両親が育ったという東北の田舎へ彼女を連れて、引っ越すことを告げた。
ここには、あまりにも夕の思い出が残り過ぎている。
 
彼女に、真実がばれてしまうのを恐れ、それからなるべく離れるため、考えた結果だった。

両親は反論を一切言わず、「頑張りなさい」と一言言って、送り出してくれた。
その日、両親に話した後、そのまま稜の家に行き、そのことを話した。
稜の両親は、俺にすべて任せると言ってくれた。