彼女が入院している間に、『凪』の葬式を済ませた。
俺は、わりと話しやすい人柄だったので、葬式にはたくさん人が集まった。
中には夕の友人もいて、慰めてくれた。
 
遺体が入った棺桶の上。
菊の花に埋まった夕の写真。
だけど、これは俺の葬式なのだ。
今日から、凪は死んで、夕として生きていかなければならないのだ。
 
笑顔でこちらを見る、夕の顔を見つめて、両手を合わせた。
 
葬式の間、涙が出る事はなかった。