「ふぅん……。そっか」 「何よその態度ー。そっちが聞いて来たから答えたのに、何で返事が素っ気ないわけ?」 訳分かんないー、とぼやきながら、隣を歩く彼女。 恋人同士だったら、愛しいとか感じても違和感はないのだろうけど。 俺は、「違う」。 「ねぇねぇ。明日、巴神社で夏祭りがあるんだって。一緒に行こうよ」 巴神社とは、この町の片隅にある小さな神社で、小さい頃夏休みになると、俺と夕で、カブト虫なんかを捕りに行った思い出がある。 町内の祭り事は、大抵そこで行われる。