太一は微笑む。 「…口づけ、くらい…、俺から…っ、したかったけど」 ――もう、動けないから。 「愛してる、美代。俺ではむりだったけど、誰かと夫婦になって……幸せに。」 その言葉を最後に 太一は息を引き取った。 もう冷たくなった手を握る。 「愛して、ます…っ。太一さん…、本当に、お慕いしてますっ!」 泣き崩れた美代は、 ただ、動かない太一を見ていた。