「たかが指輪ぐらいで…」 …たかが? へぇ。 あ、そう。 「たかがね。 そうだよね。 うん。 悟くんにとっては 私があげたお揃いの指輪は たかが、指輪なのね。 なくしてもいいんだー」 「え?いや、そういうことじゃなくて…。」 そう、 ご察しの通り 私の彼氏、高嶺悟は 私があげたお揃いの指輪を ”うっかり“なくしてしまったらしい。 初めてのお揃いだよ!? しかも私があげたのに。 「茉莉子、ごめんって。」 伸びてきた手を 叩き落とし、 そっぽを向いた。