あたしは暴れて、それにかかっていた布をパッと引いた。

あたしの目に飛び込んできたのは────

「きゃあぁぁぁっ!!」

「見るな!!」

幸哉さんはとっさにあたしを抱きしめた。

「知哉じゃない…
あんなの知哉じゃないよぉ…」

「ゴメン…やっぱり会わせるんじゃなかったな…」

「うわぁぁぁぁん!!」


───嘘つき



嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき嘘つき

あんなに未来の話をしたのに

あんなにたくさんの約束をしたのに

やっぱり嘘だったの?

一つも守れてないじゃないの

あたしを苦しめてるの?

嘘つき知哉。

なんで死んだ事も嘘にしないのよ

なんでこれだけ本当にするの?

やっぱり永遠なんてどこにもない。

貴方はあたしのそばには居てくれないの。




だから嫌い。

嘘つきな知哉なんて

大嫌い…




幸哉さんが落ちた布を知哉にかけた時、チラリと光るものが見えた。

「待って!今の…」

今の知哉の姿は見れない。でも一部だけ、布をかけずにあたしは見た。

知哉の指に残っていた指輪。




炎から守ったのか、左手は綺麗だった。

あたしはその指に

最後のキスをした…