私は小松朋花に呼び出されて、二人でいつも利用しているファミレスに来ていた。

「お一人様ですか?」

「いえ…連れが先に来てると思うんですが…ああ、いました」

「はい、すぐにメニューお持ちしますね」

私は朋花を見つけると、彼女の席へ向かった。

彼女は私が来たのに気づかず、下を向いたままだった。

「ちょっと、朋花!来たわよ?今日はなに?」

「まり奈ぁ…」

…う…うわぁ…これはヒドイわ…

顔を上げた朋花は泣いてメイクも落ちて酷い顔になっていた。

「顔上げなくていいわ…」

大体の予想はつく。
私は彼女にハンカチを渡して、向かいの席に座った。

「今回はどうしたの」

「会社の人にぃ~…フラれたぁ~…」

ああ、やっぱりね。

フラれたり、彼氏と別れたりすると朋花はいつもこうだ。

毎度の事ながらちょっと呆れてしまう。

それでも頑張って恋愛する朋花を、私はわりと好きでもあった。

「そんなに泣くほど好きだったわけ?付き合ってたの?」

「ううん…まだ付き合ってない…さっき捨て身の覚悟で告ったら…ふ…えぇーん」

「何でフラれちゃったのよ?」

「…家族が居るからって…いっ、言われたの~…」