「まだ信じられないな」
だんだん家が近付いてきた。
「本当だね。嘘みたい。お母さん達にバレたらうるさそうだね」
「そうだな。絶対冷やかしてくるな」
キミは、明日の部活の練習前にみっこに話すと言った。
その目はとてもしっかりしていて、俺が何とかする必要なんて全然ないんだろうと思った。
キミは大人だ。
俺よりもちゃんと周りが見えていて、いろんなことを考えている。
「柳本さんとか、他の女の子達、ショック受けるだろうな」
そんなことを心配するキミをもっともっと好きになった。
繋いだ手はいつの間にか自然になっていて、緊張から安心感へと変わっていた。
「じゃあ、明日ね!!送ってくれてありがとう」
「お、おう」
キミの家の前。
俺達は手を離した。
「明日・・・・・・教室で待ってるから」
「うん!!行くね」
もう理由がなくても会える。
キミは俺の彼女になった。
「おやすみ、そうちゃん」
「おう」
手を振るキミ。
俺は軽く手を上げて、ペコっと頭を下げた。
「お、おい!!」
呼び止めた。
「おやすみ、紗希!」
さきちゃん大好き。
そうちゃん大好き。
そう言い合っていた俺達。
素直になれずに遠回りした。
でも、やっと・・・・・・
想いを伝えることができた。