「………親父さん、心配なんだろうな」 病院を出て目的地も告げられないまま車に乗せられた私に、篠宮さんは運転しながらそう言った。 「そうですね。…友達の話とか、したことないしなぁ」 「彼氏の話もだろ?本当に初めてっぽいし」 そう言われて、なんだか悔しくなった私は返事もせずに景色を眺めていた。 「じゃあこれも初めてだろう?彼氏と海」 しかしその言葉に、私はぱっと反応してしまう。