私が院長室に向かっていると、向こう側から院長先生が歩いてきた。 「こんばんは、院長先生」 「あぁ、真琴さん。おとうさんから聞いてきたのかな?…立ち話もなんだから、こっちにおいで」 いつも通りの穏やかな声にほっとしていると、院長先生は私を院長室に招き入れた。 ―――以前にも通されたことがある院長室。 あのときは確か、義父のガンの告知をされたんだったな………。 …ん?