―――――けたたましく鳴る内線の呼び出し音に、ついぼんやりしていた私は我に返る。 …そうだ、仕事中だ。 「…はい」 「さ、笹倉さん!本社の応接室で商談やってんですけど、開発部からの一押しがほしいって騒がれてて………笹倉さん指名で」 お伺いを立てるような口調でそう聞いてくる後輩に、私は心の中でため息をついた。 …私抜きでまとめられない商談なら諦めてしまえばいいのに。 しかし、そうは思っても一応身分は会社員。 小さく笑って私は答えた。