―――翌日、会社に向かうと開発室の前に誰かが立っていた。 開発室以外は、社員であってもこの建物には入れない。 …誰かを待っているんだろう。 「………あ!おはよう、笹倉さん」 私がその人の横を通り過ぎようとすると、その人は私にそう声をかけてきた。 とっさの出来事に私はびっくりして、声のほうを振り返る。 「昨日は助かったよ。相手先からもお褒めの言葉をもらったしね」 そこまで言われてよく顔を見ると、昨日のあの人だということに気づいた。