「…こんな綺麗な女の子なのに、失恋でもしたのかしら?」 そう言われ、私は目を大きくする。 「し、失恋………っていうのかもわからないんですけど………」 ―――そこから、私は話した。 義父の死。 支えてくれた人のこと。 初めて人を好きになったこと。 その人の手を、取らなかったこと。 そして今、そのことを後悔していること。 泣きながら話す私の背中をさすってくれるその人の手の温かさが、私を素直にさせてくれた気がする。