ピアノを人前で弾くということは、完成した曲を弾くということ。
でも、作曲は違う。
作曲は何もない状態、つまり、音楽を一から、何もない状態から作り出す。
私にとって『作曲』は未知の世界であり、別世界。
「じゃあ…、本当に断っていいんだな?」
優星くんの目に悲しみが映ったのを、見逃すことができなかった。
「待って!!」
私は咄嗟に、声が出た。
「上手く出来るか分からない。でも、出来る限り頑張るから!」
とにかく必死になって、前向きな言葉を投げかけた。
「よかった〜」
優星くんも健人くんも少し安心した顔になった。
「でも、作詞は?」
「あ…」
健人くん…
忘れてたんですか!?
「大丈夫」
え…?
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