着いた先は、先日出来たばかりの遊園地。
さっきまでの雨は嘘だったかのように、空は晴れた。
「晴香、疲れてない?」
私を"晴香"と呼ぶ。
呼ばれる度に、苦しくなる。
「大丈夫」
そうか…私は橋本晴香なんだもん。
「今日はちゃんとサヨナラが言いたくて…」
「…うん」
だんだんと翔さんの顔が近づいてくる。
「ずっと好きだから…晴香」
キスされる!?
その瞬間、誰かに突然腕を引っ張られた。
「この人は、晴香さんじゃない」
ずっと聞きたかった声。
ずっと触れたかった温もり。
すごい目つきで翔さんを睨み付ける。
「優星…」
私の軽率な行動で…
「橋本沙羅から聞きましたよ。翔くんの過去を…」
「…ごめん。花恋ちゃんと優星」
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