「橋本晴香は俺の教え子なんだよ」
まるで懐かしむかのように、先生は語り出す。
「彼女は学年で成績もトップクラスだった。それと、翔の彼女でもあったんだ。」
翔さんの…
「すごくお似合いな2人だったよ…」
先生の"だった"が準備室に響き渡っていた。
「じゃあ今は…?」
「殺されたんだ…翔との交際を恨んだファンに…」
え……
「翔は責任は自分にあるって、今でもずっと思って過去から抜け出せずにいるんだよ」
今でも…
「俺は金城に橋本と同じ運命をたどってほしくないんだ」
誰もがみんな、ハッピーエンドの恋をできるわけじゃない。
わかってる…
そんなこと…
それからの私は、どうやって帰ったのかも思い出せないくらいに、涙を必死にこらえた。
私が泣いたって、何も変わらないのにね?
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