「翔も花恋ちゃんも…お前ら2人、優星のこと何も知らない」
現実を突きつける言葉に、私は一瞬…現実に負けそうになった。
「東京にいる優星は、本当の優星じゃない」
きっぱりと言い切った昴さんの表情は、"確かだ"と言っていた。
「優星は…」
昴さんの話では、優星がデビューするまでの道のりは、私が想像していたものより遥かに過酷だった。
優星は以前、関西で活躍しているアイドルだった。
グループ名は"Imagine"
その、リーダーをしている。
しかし、社長からの命令で活動拠点を大阪から東京に移すことになった。
そこで、役作りの為に標準語を話すように言われ、優星の親戚が千葉県に住んでいるから2年間地元を離れて生活したと昴さんは言っていた。
「だから優星は、よく胃潰瘍とかで入院してた」
私、何も知らなかった。
優星が3STARと掛け持ちしてて、過去にこんなことがあったなんて…
「さっきは買い物って言ったけど、この時間に帰ってこないとすると大阪に帰ったな」
新幹線で約2時間30分の距離。
今日、優星の過去を知ったことで、優星との遠い距離を感じた。
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