私は黙って、コーヒーを口にした。
そのコーヒーは、大人の世界のようにほろ苦く、でも安らぎを与えてくれるような味だった。
「そういえば!」
昴さんは、いきなり思い出したかのように立ち上がる。
「昨日、優星が携帯を社長に没収されたって言ってたな?」
私はその一言で、一気に暗闇が見えたような気がした。
「まじかよ…。そんなこと今まで無かったけど…」
翔さんも驚きを隠せない様子。
さっきの楽しい空気が一変、一変に現実を突きつけられた。
「私の…せいで…」
私の母が関わらないよう言ったから?
私が全部悪い。
『そんなこと無いよ』って言ってくれるのを、心のどこかで期待していたのかもしれない。
でも、昴さんは違った。
「そうだな、お前のせいだ」
「昴先輩っ!!」
翔さんは、必死に否定してくれた。
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