優星に会いに行く。
この判断が正しいのかなんて、誰にも分からない。
それでもいい、優星に一目でも会いたい。
今、何をしていますか?
どこで、何を見ていますか?
「着いたよ」
その駅は先程の駅とは違って、乗り降りする人々が行き交っていた。
人が多すぎて、はぐれてしまいそう。
「しっかり、ついて来いよ?」
そう言って翔さんは、わたしの手を握る。
私が子供だから、手を握ったんだよね…?
でも、改札口を通り過ぎても、翔さんは握った手を離すことはなかった。
「翔さん…?手…」
「行くぞ!」
離してくれる様子はない。
こんな場面、嫉妬深い優星に見られたら、大変なことになる。
「なんか、腹減った。お昼食べに行くか?」
「あ、はい…」
電車から降りて、5分が過ぎた。
「俺ら、カップルに見える?」
「え?」
あまりに突然で、驚いた。
「冗談はやめてくださいね」
「あー、ごめんごめん」
それより私は、握った手が気になって仕方がなかった。
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