――――……
私は、一睡も出来なかった。
優星は今、何をしているの?
学校の制服を着て「いってきます」
キッチンからは「いってらっしゃい」と母の声が聞こえてくる。
いつもの朝の会話。
何一つ、いつもと変わらない。
ただ、変わっているのは、左手に持ったショップバック。
このバックには、私服が入っている。
途中で着替えることにした。
制服を着てると、警察に補導されるし、私服で家を出たら両親に怒られ、今度こそ優星と会えなくなるから…
私は私服に着替え、待ち合わせの駅に向かった。
「翔さんッ!」
「花恋ちゃん」
ほんと、この駅は全くと言っていいほど人影がない。
だから、逆に人がいると目立つ。
「今日は舞台の稽古ないんですか?」
「あぁ、休み。ラッキーだよ!どうせ、暇してたし…?」
そのとき、輝さんから電話がかかってきた。
「もしもし、花恋ちゃん?」
「はい」
「優星と翔、知らないか?アイツら2人、舞台の稽古無断欠席で…日に日に1人ずつ、無断欠席が増えるから」
「ごめんなさい。ちょっと分からないです」
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