瑠花は今まで、テレビや雑誌でしか見たことが無い人が、目の前にいて驚いている。

「じゃあ、帰ろうか?」

「うん」

私と瑠花が、帰ろうとしていたら
「俺、気づいてましたよ」
突然、優星が言った。

「輝さんが苦しんで、悩んで、1人で抱え込んでいたこと。俺だけじゃなく、翔さんも大和も…」

やっぱり、気づいてたんだ…

「俺、自分のことで精一杯だったんです」

優星はしっかりと前を見つめて言う。

「そんな俺に、個人レッスンしてくれたり、大阪から一人で来た俺に"寂しいだろうから"ってたこ焼きを買ってきてくれたり…
俺は、そんな輝くんを尊敬してるし、信頼してるんです」

そんな輝さんは、涙目で
「ありがとう」

その一言が、私の心にも響いた。



.