どうやら、彼は高校3年生。

「教えて」

「え、何?」

彼は私の携帯を、そのキレイな指で指差した。

「アドレス教えて」

「あ、メアド…」

「そう、ピアノで分かんないとこあったらメールしていい?」

「うん」

お互いの連絡先を交換した。

意外と役作りに関しては、真面目なのね…

「来週も待ってる」

来週も…?

「ごめんなさい。私、ピアノの先生の代理できたの」

「そうなの?」

「うん。だから来週は、来ないと思う…」

「そっか…」

彼は下を向いている。

「ここ、テレビ局の裏口だけど、こっちの方が駅近いから…」

「うん!ありがとう」

「メールするね…」

そして、テレビ局を後にした。



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