私は目を覚ました。

長い長い夢を見ていた気がするのに、

誰かの顔がでてきて、私は涙を流した。ひどく冷たい涙だった。

誰だろう、私の心を抉るのは。

私の心底に居着いて消えてくれない存在。

私は心を壊した。

あの日、あの日を、忘れたくて、無くしたくて、全てを


手放したのは、




私がひどく弱かったから。自分が思う以上に、


私は弱くて、



逃げることがとてもうまかったから、

こうして記憶を私のなかから放逐したのだ。











朝、私は目を覚ました。

枕元に一冊の分厚い手帳。

なんだったっけ、と寝ぼけながらめくる。

朝だからきっとまだ脳が起きてなくて、なにかわからないだけだろう。







手帳の表紙には、「明日の私、今日あったこと、たくさん手帳に書き込んでください。そして、明日の私にとっての明日の私にちゃんと伝えてください。日付を入れ忘れちゃダメです。一番最後のページが、昨日の日付。ちゃんとお母さんに日付をきいて書き込んでください。お母さんやお父さん、夏夢は次のページにいます。心配しないで。明日の私。明日の私はちゃんと記憶をもってます、心配しないで」






ページをめくれば、そこには知らない顔があった。それでもきっと、私の知っているかおなんだと思う。

どこかでこの状況を受け入れなれた自分がいることに気づいた。


ただ、それだけだ。