風がまだ冷たくて 新しい季節を知らせる雰囲気はまだ見えないのに、木々達は花を咲かせ始めた。 「おはよっ!優衣ちゃん」 まだ慣れない道を歩いていると 後ろから勢いよく現れたのは 親友の萌絵だった。 「…おはよ」 「元気ないなぁー?もしかして緊張してる?」 いつもなら明るく返事をするところ 声が思うように出なかった。 緊張もするさ… なんたって、今日は入学式なんだから。 「…してる。てゆか萌絵、どうしたの…」 隣を歩く萌絵をまじまじと見ながら 少し、距離を置きたくなる。