「さーんきゅ!丁度、明日学会の論文提出だったんだよ~」 「い…いえ…」 いつも通り話してくれてる…。 教授の笑顔を見ると、さっきまでの暗い気分が少し和らいだ。 「じゃあ、この資料いつものように区分してくれる?」 「…あ、はい」 いつも通りの空気。 いつも通りの時間の流れ方。 正直、すごくホッとした。 追求されると、泣きたくなる。 慰められると、余計に惨めになってしまうから……。 そういうことを分かってくれる教授はやはり私よりも断然大人だった。