「う…じゃ、お邪魔します…」 ――とは言ったものの、男の人の車に乗るなんて人生始めて。 …弘也くんの時は、乗せてもらえなかったもんなぁ…。 そう思いながら、革張りの席にゆっくりと身体を沈めた。 座り心地がよくて、ちょっぴり新車の匂いが残る車内。 ……なんだかそわそわしてしまう。 「何、そんなに肩縮こまらせて。緊張してるの?」 「そっ…そんなことないですっ」 「ふうん?じゃ、出発するよー」 やけに余裕ぶった態度の教授がやけに恨めしい。