「おっ。時東遅かったね」
「…パン買ってたんですよ!」
私がテーブルにポンとパンが入った袋を置くと、教授は不思議そうにそれを見つめた。
「俺、今日JUNが来るって言ったっけ?」
「……へ?」
慌てて、メールを見返すと『HELP ME!学会の論文がまとまんないから、研究資料まとめるの手伝って~!』と書いてあった。
ちゃんとメール見てなくて、勘違いしちゃってたんだ、私。
恥ずかしい…。
「ごめんよ、オジサンしかいなくて」
「いやいや。勘違いしちゃったのは私なので、すいません…」
本当に、もう、何やってんだろ、私…。
「謝らないでよ。JUN今ドラマ撮影忙しいみたいだから、あまり来れないみたいなんだ。残念だよね」
「へ、へぇ…そうですか」
「23時からの深夜ドラマなんだけど、良かったら見てやって」
「…は、はぁ…」
別に、私見るつもりなんて毛頭ないんだけどな。
アイツのドラマなんか…。

