画面の向こうに甘いKiss☆



「……時東。あいつはね…俺の親の事務所の所属タレントなんだよ」

「…へ?」

サラリと呟いた教授の言葉に、私は危うく持っていた紅茶のカップを落としそうになった。

――衝撃的な事実があった。

教授の親御さんが経営している芸能事務所にJUNはスカウトされ、大学はほぼコネクションでココに決まったらしい。

大学側も芸能人を入学させて、知名度を上げるという利害一致があったから、許可に至ったとか。



だけど目立つから、空き時間などは教授の研究室に居るよう事務所の上から通達があり、さっきみたいな状況になった、と。



なんかこの世の嫌な裏側を見ているみたい…。



「ごめんな、大人の世界を垣間見せちゃって」

「いえ。話してくれて、ありがとうございます!」

教授の研究室に“JUN”がいた理由は分かって納得した。
だけど教授は何でこんなトップシークレットなことを私に教えてくれたんだろう?
ふと素朴な疑問が浮かび上がった。


……でも、考えても仕方ないか。
教授って何考えてるか分からないところあるし。



そして、私はいつものように教授の手伝いをし始めた。
正直教授の手伝いなんて雑用だけど、私は麻生教授のゼミに絶対入りたいの。

麻生教授のゼミは人気があるから、こういう風に顔を売っておかないと…選考で落とされちゃう可能性が高い――って大学の先輩言ってたから。

一生懸命、頑張らなきゃっ!!
案外教授の手伝いも楽しいし。