「…ほんっと最悪だったんですよ!何で早く研究室来てくれなかったんですか!」
「お…落ち着け。な?時東」
研究室に戻ってきた教授に私は、怒りをぶつけていた。
「というか、何故教授の研究室に“JUN”がいるんですか!?仕事は?ドラマ決まったんじゃないんですか!?」
矢継ぎ早に口を動かす私に教授はタジタジ。
「く、詳しいね…時東…」
「友達から聞いたんですよ!!!」
「――…お前、ちょっと待ってろ」
興奮している私を落ち着かせるためか、教授は私に紅茶を淹れてくれた。
ふわりと良い香りが研究室に広がる。
「ほれ。時東好きだろ、俺が淹れたミルクティー」
「…う…あ…ありがとうございます」
そう。私が紅茶好きになったのは、同じく紅茶に詳しい麻生教授の影響。
お手伝いをしたご褒美に、とよく淹れてくれるミルクティーはどのお店の紅茶よりも、美味しかった。
もちろん私はペットボトルの紅茶や、インスタントの紅茶だって飲めるし、大好きだけど、一番は教授の紅茶なんだ。
「落ち着いた?」
いつもは飄々としている教授がこういう時は頼れる大人な雰囲気を醸し出すから不思議。
「…はい……」
感情に任せすぎて、子供っぽくなってしまった自分を後悔し始めるほど、落ち着いちゃった…。
やっぱり教授の紅茶ってすごい。
飲むと、心が温かくなる…。

