画面の向こうに甘いKiss☆





「下の名前は?」


間髪入れず彼は聞いてくる。


「え……ゆっ由芽ですけど……」


何でそんな必死なの、と言いたくなるぐらい彼は真剣な目をしていた。

この瞳どこかで………。



「――ああ、そっか。だから…なのね」

「…はい?」


彼は目の前で勝手に1人で頷き、納得している。
わけわからないんですけれど……。



「っていうか、貴方は!?名前」


私だけ聞いておいて、自分は答えないなんて失礼だよ!


「俺…?」

「そう、貴方」

「ふうん。やっぱり由芽も、俺のこと興味持つんだ」


彼は少し眉をひそめ、不機嫌な顔をし、被っている帽子をより深く被る。
そんな態度にカチンときた私は、


「…!?ちょ、勝手に名前呼び捨てにしないでっ。それに興味とかじゃなくって…」

と反論した。

人の名前を聞く前に自分から名乗るのって常識なのに、
なんでそこまで不機嫌にされなきゃならないの……。