『もしもし?』
ハッチの優しい声が響く。
私は、ハッチの声がすごく好きだ。
かっこよくて、艶があって。
顔もかっこいいけど、ハッチの声は、本当に大好きだった。
ハッチの声優という夢は本当にピッタリだと思っていた。
「…もしもし」
『あ、ごめん。今大丈夫?』
「うん。大丈夫だよ」
『こないだはありがとな。楽しかった』
「…うん、こちらこそ」
『ドリーさ。……お、俺のこと嫌い?』
「え…っ!?」
ドキンと胸が跳ねた。
別に嫌いじゃない。
ハッチのことは好き。
恋愛か?と言われれば、それはまた違うかもしれない。
だけどハッチの雰囲気や空気感は好きだった。
優しくて。暖かくて。
だけど…ハッチは私には釣り合ってないと思うし、
どうしても弘也くんのことが頭にチラついて卑屈になってしまう。

