危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

びっくりして涼が振り向くと、冴子は上目遣いで涼を見つめ、


「急にいなくなるから、みんな心配してるよ〜」

と、普段は聞いた事もない甘ったるい話し方で冴子は言った。


「そんな事、あるわけねえよ」


涼がそっけなく言うと、


「あ、でも、ワタシは心配したよ?」

と、冴子は甘えた声で言った。


「お姉ちゃん、まだいたんだ。気をつけてね? じゃあね?」


「う、うん」


私は呆然としながら遠ざかる二人の背中を見送っていた。


涼は冴子の手を振りほどいたが、冴子はすぐにまた手を絡めていた。

そして私を振り向くと、ニヤッと笑った。


“涼は私が貰うから”


そう言われた気がした。