危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

え?
涼が私の事を気遣ってくれてる?


嬉しくてドキドキしてしまった。でも、それどころじゃないわ。


「嬉しいけど、私なら大丈夫だから」


「それだけじゃないよ。サッカーやりたきゃ他の曜日があるし、それに……」


涼はそこで言葉を切り、何かを考え込んでいるようだった。


しばらくして涼は顔を上げると、真剣な目を私に向けた。


「俺さ、高校でサッカーやってみたくなった」


「うん。という事は……」


「頑張って勉強するよ」


「じゃあ、テストで全力出す?」


「もちろん。うわっ」


私は涼が“もちろん”と言うのと同時に、涼に抱きついていた。


「ど、どうしたんだよ?」


「だって、嬉しいんだもん……グス」


「おい、また泣いてんのかよ?」


「だって……」


「ほんとに綾子は泣き虫だよなあ」


と言いながら、涼は私の背中をそっとさすってくれていた。