危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

「ずるーい。返して!」


涼からボールを奪いに行ったら、どうやったのか知らないけど、ボールが涼の前で左右に動いて、奪うどころか目が追い付かないぐらいだった。


そして「はい、パス」と言って、ボールは涼の味方の子に渡った。


「今のは何?」

「ん? フェイント」

「もう〜、全然手加減してないじゃない?」

「してるよ」

「嘘だ! 悔しいー!」


私はボールを持った男の子に突進していった。サッカーの経験はないけど、運動神経にはちょっと自信あるんだからね!



って感じで、キャーキャー言いながらしばらく夢中でボール遊びをした。


「ふー、疲れたあ」


ベンチにドスンと私が座ると、


「綾子、なかなかやるじゃん。“なでしこ”目指せば?」


なんて涼に言われた。


「涼こそ、ちゃんとサッカーやればいいのに……」


深く考えもせず、そう言い返したら、


「やってるよ」

と涼は言った。