危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

冴子は今、たぶん鼻で笑って私を見下ろしていると思う。


“たぶん”というのは、私は酷い近眼だから、眼鏡を外した今は冴子の顔がよく見えないからだ。


「どうせ親に逆らえないんだから、素直に“はい”って言ってれば点数稼げたのに……」


冴子の言う通りだと思った。


「お姉ちゃんは渋々家庭教師を引き受けたって、お父さんに言っていい? どうせ自分じゃ言えないんでしょ?」


私は悔しいけど、コクッと頷いていた。


「お姉ちゃんにアルバイト代が入ったら、何を買ってもらおうかなあ」


そんな事を言いながら冴子は部屋を出て行った。