危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

私は章さんの言い方にムッとしながら涼を見たけど、さっきと同じく平然としていた。


聞こえてないのかな?
ううん、そんなはずない。だって、冴子がお喋りを止めて章さんを睨んでるから。


「章さんは涼君の事……」


“分かっていません”と続く私の抗議の言葉は、「お待たせ〜」という奥さんのハイテンションな言葉に掻き消されてしまった。


「バーベキュー始めましょう? お父さん、鉄板の準備は出来てるかしら?」


「おお、いい感じになってるぞ」


私は章さんとの不愉快な会話を中断し、立ち上がって鉄板の方へ向かった。


章さんって、今までは穏やかで優しい人だと思っていたけど、今はいけ好かない人になってしまった。私の中で。