危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

「そんな、私は何も特別な事は……」


と言いながら、キスは“特別な事”ではあるけど、それは別の話よね、と一人でノリツッコミみたいな事をしていた。もちろん心の中で。


章さんが言った“マシな点数”という言い方に私はカチンと来たけど、涼はどう思ったかな。


そう思って涼を見ると、彼は知らん顔をしていた。聞こえなかったのだろうか。


「そう? とにかく綾子ちゃんはすごいよ。父も母も喜んでる」


章さんは喜んでないの?

咄嗟にそう思ったけど、それは口には出さず、


「いいえ、私なんか何も……。涼君の実力ですよ」と私は言った。


「実力? まさか。綾子ちゃんが教えてくれたおかげか、そうじゃなければ、まぐれでしょう」