危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

章さんは気を使ってか私に話し掛けてくれるけど、私は横の冴子と涼の会話が気になってしょうがなかった。


冴子と涼は、中学ならではの学校行事の話などをしていた。私や章さんは入っていけないような話ばかりを……


ただし涼は無口で、もっぱら冴子が喋り、涼は“ああ”とか“ふーん”とか、相槌を打つ程度だったけど。



「……かい?」


「はい?」


章さんに何かを聞かれたみたいだけど、私は横の会話が気になり、ちゃんと聞いていなかった。


「綾子ちゃんはどんな魔法を使ったのかな、と思ってさ」


「“魔法”ですか?」


「うん。この涼が綾子ちゃんが来る日は真っ直ぐ帰って来るし、テストじゃそこそこマシな点数を取ったらしいし、いったい綾子ちゃんはどんな魔法を涼にかけたのかなって」