危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

車の後部座席。

横で冴子はイヤフォンで音楽を聴きながらリズムを取ったりして上機嫌だ。


私は窓越しに外を流れる景色を、見るともなく眺めていた。


今日は私の気分を象徴するような曇り空。もうすぐ梅雨に入るらしい。



来生家に着くと、先方も家族4人が揃っていた。


ニコニコして機嫌の良さそうな部長さんに、やけにテンションの高い奥さん。


いつも通りに笑顔が爽やかな章さんと、対照的に仏頂面した涼。


簡単な紹介が終わると、奥さんと母はバーベキューの材料の準備に取り掛かった。

私もそれに加わろうとしたら、


「綾子さんは主賓なんだから、ゆっくりしていて?」

と奥さんから言われてしまった。


私が主賓?

涼じゃないの?