危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

「だって、それは……」


“お母さんが聞かないからでしょ?”と続く言葉を私は飲み込んだ。それを言ったら言い争いになるのは目に見えているから。


母は“何よ?”という顔をしたけど、父が不穏な空気を察してか、「部長が喜んでね……」と話を続けた。


「部長のお宅にご招待されたんだよ。天気が良ければ庭でバーベキューをしようって……」


「私や冴子もなの?」


「もちろん家族揃ってさ」


母はいかにも嫌そうな顔をした。


「いつ?」


「今度の日曜。都合悪いって言おうか?」


父はそんな母の表情を読み、そう言ったが、母が承諾するのを期待しているのは明らかだ。


この二人のやり取りはいつもこんな感じで、見てるとイライラする。