危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

そんな冴子に気遣うようにしながら、

「悪いな？ ちょっと話があるんだ」

と父は話を始めた。

母は“面倒な話はイヤよ？”と言いたげな嫌そうな顔をし、冴子は父を見る振りをしながら、意識はテレビに集中したままだ。


「中学でテストがあったらしいな？ 中間テストだっけ？」


「え、う、うん、そうだよ」


いきなり父からテストの事を聞かれて、冴子はあからさまに動揺した。平気そうな顔をしているけど、内心は自分のテスト結果の話かと思ってドキドキしてると思う。


「部長の下の息子さん、つまり綾子の生徒がかなりいい点取ったらしいな？」


父は正面の母に向かってそう言った。


自分の話題じゃないらしいと知って、安堵した表情の冴子からも顔を向けられ、母はちょっと慌てた様子で、


「し、知らないわよ。綾子ったら、何も言ってくれないんだもの……」


と言った。