危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

「あんた、お父さんの頼みを断るつもり? そもそもあんたは勉強のしすぎなのよ。頭がおかしくなっちゃうわよ?」


母にそう言われ、私はムカッとして抵抗したくなってしまった。


私が無言で母を睨んでいると……


「綾子がきつければ短期間でもいいと思うんだ。ある程度成果が出たところで……」


「あら、それは無責任なんじゃない? やるからには、ちゃんと高校に合格するまで面倒見て差し上げないと」


母はそう言いながら、私をキッと睨み返している。


間に入った父が気の毒なのだけど、母の言動と隣でニタニタしている冴子の態度に腹が立ち、私は無言で立ち上がると、クルッとみんなに背を向けた。


「綾子……?」


父の情けない声が後ろから聞こえたけど、私は振り向く事なく階段を駆け上がった。