危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

タオルを目に当てた時には、涙はもう止まっていた。


「落ち着いたか?」


「うん、もう大丈夫」


「俺さ、昔はこうじゃなかったんだ」


「昔って?」


「中1の頃」


2年前か……


「兄貴があそこの男子校に合格してさ、本人も親も大喜びしたんだ。それは別に構わないし、俺には関係ないしと思ってたんだけど、俺に矛先が向くようになったんだよ」


「“矛先”って、どういう事?」


「ん? つまり俺も兄貴に続いて同じ高校へ行けって事になったんだ」


「涼はそれが嫌だったの?」


「いや。勉強をまじめにやって、兄貴と同じ高校に行く事自体は別に嫌じゃなかったよ」


「え? じゃあ何が……?」