危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

「……なの?」


「え?」

昨日の事を思い出していて、純ちゃんの話を聞いていなかった。


「大丈夫なの?」


「何が?」


「だから……、その不良の弟君、涼君だっけ? その子の部屋で勉強するんでしょ? 危なくない?」


「ああ、そういう事? もう大丈夫だと思う」


「“もう”?」


し、しまった……


「何かあったの? もしかして、襲われたとか?」


ギクッ


「な、何もないよ」


「うそ。綾ちゃん、今ギクッとしたでしょ? 涼君に何かされたんじゃないの?」


純ちゃんの厳しい追求はしばらく続いたけど、私は涼君にキスされた事は言わなかった。


その理由は……何だろう。

恥ずかしい?
大袈裟にしたくない?


それもあるけど、それだけじゃない気がする。それが何なのかは、自分でも分からないんだけど。