危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜

「じゃあ、諦めるかな」


涼君がボソッと呟いたその一言を、私は聞き逃さなかった。


「何を諦めるのよ?」


「え? あ、何でもないよ」


私がジロッと睨んだら、涼君はバツが悪そうに私から目を逸らした。それを見て、私はピーンと来た。


「なるほどね……。“大声出せば?”って、変だなと思ったけど、そういう事なんだあ?」


「な、何言ってんだかわかんねえ」


「あんな事したのは、私を辞めさせるためでしょ?」


不意に私が腰を屈め、ベッドに腰掛けた涼君の顔を覗き込みながら「図星でしょ?」と言うと、涼君は慌てて顔を後ろに反らせた。


「案外、君も初めてだったりして?」


「ち、違うよ」


赤い顔をした涼君を見て、態度は大人びてるけど、やっぱりまだ子供なんだなと思った。